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大気汚染

大気汚染とは?

大気汚染(たいきおせん)とは、人間の経済的や社会的活動、火山噴火などの自然災害などによって大気が有害物質で汚染され、人の健康(目や呼吸器などへの害)や生活環境、動植物に悪影響が生じる状態のことである。環境基本法第2条第3項に規定された「典型七公害」の一つである。

大気汚染の原因となる主な発生源と物質は、自動車などの排出ガスが由来の浮遊粒子状物質(SPM)や二酸化窒素(窒素化合物)。工場などからの排煙を由来とする亜硫酸ガス(硫黄酸化物)、揮発性有機化合物(VOC)。廃棄物の焼却排ガスを由来としたダイオキシン類、スス。建築物の解体を由来とするアスベスト。自然由来としては火山活動や黄砂の粉塵などもあり、多岐にわたる。大気に浮遊し大気を汚染する物質であれば気体、液体、固体を問わない。すす等の微粒子が空中に漂い、煙とも霧とも着かぬ状態になるのをスモッグという。

また、タバコの煙も大気汚染とする見方もあり[1]、米国カリフォルニア州においては喫煙の煙を大気汚染物質に指定している。

影響

このような汚染物質の直接の影響は、人間の呼吸器系統への障害がまず挙げられ、咳き込みや眼の痛みなどを起こすこともある。四日市ぜんそくなどはその代表的な例である。

また、光化学スモッグの発生は、病気の原因となるだけではなく、市民が外出を控えたり、小・中学校での体育の授業が中止されるなど、市民生活や経済活動の妨げになる。

ほかに、酸性雨も大気汚染物質が原因であり、その影響は、森林破壊や農作物への影響など、広範囲にわたる。 現代では、温室効果ガスの増加で地球温暖化を引き起こすことが懸念されている。

日本の状況

自動車や工場によるもの

日本においては、1970年代まで大規模な工場地帯や幹線道路沿いで大気汚染がひどかった(特に大阪市は別名「煙の都」とも呼ばれた)。スモッグや光化学スモッグの発生によって多くの被害が出た。北九州市では、高度経済成長に伴う製鉄所の増産の影響で、1969年に日本初のスモッグ警報が発令されている。 日本では大気汚染のうち、イオウ酸化物によるものは工場に脱硫装置が設置されたため、現在では環境基準を越えることは滅多にない。しかし、光化学オキシダントについて環境基準を達成している測定地点はほとんどなく、年々上昇傾向にある。そのため、光化学オキシダントは「最後の大気汚染問題」と言われている。その発生原因についてはこれまで、自動車などの排気ガスに含まれる窒素酸化物や炭化水素が太陽光の紫外線によって分解され、オゾンやパーオキシアセチルナイトレートができるためと言われてきた。しかし、最近になって排ガス規制により大気中の窒素酸化物の濃度が減少しているにも関わらず、光化学オキシダントの濃度は緩やかに上昇しているという結果が出ており、その発生機構の見直しが求められている。 主要都市では、排出ガス規制の遅れていたディーゼル自動車が原因とされる大気汚染が改善されていないといわれ、自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法、いわゆるNOx規制)などによるディーゼル車への規制や、一定年数を過ぎた使用過程車への自動車税の割増措置(ガソリン、ディーゼル共に古い車の強制的な使用禁止と新車への買い替えを促す)が行われている。

東京や大阪の都市圏や工業地域では現在でも光化学スモッグ注意報が出ることもある。

中国によるもの

2000年以降は中国の汚染物質が偏西風に乗って日本まで流れてきている。2007年に九州地方や新潟県などで発生した光化学スモッグは中国からの汚染物質が原因とされている。

生物指標

大気汚染に弱い生物として、樹木に着生する地衣類が知られており、これを大気汚染の生物指標として用いることがある。また、マツの葉の断面も、気孔周辺に大気汚染による煤がたまりやすい。

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