海洋投入
海洋投入とは?
海洋投入(かいようとうにゅう)とは、廃棄物を海へ沈め処分する、最終処分方法のひとつ。海洋投棄ともいう。
日本では主に、屎尿や下水道、浄化槽から発生する有機汚泥と、ボーキサイトからアルミニウムを精製する工程で発生する赤泥(せきでい)を処分する手段として用いられてきたが、2007年度より全面廃止となった。
一般廃棄物
日本の海洋投棄
下水道の整備が遅れていた日本では、古くから船舶による屎尿の海洋投入が行われていた。特に大都市からの発生量が膨れ上がった1950年代以降に急増し、当時東京湾外の青い海原に広がる屎尿の黄色い帯が、「黄河」と評されたりもした。
1980年代以降、国際社会において廃棄物の海洋投入による海洋環境への負荷が認識され、1972年ロンドン条約(廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約)が採択された。その後もバーゼル条約、マルポール条約とともに廃棄物の国外流出に規制が強められていった。
特にロンドン条約の1996年議定書においては、海洋投棄を原則禁止する画期的な措置が提示された。日本もこれを批准して国内法規を整備し、2002年の廃棄物処理法施行令の改正と2007年までの猶予期間の終了により、海洋投入を原則廃止した。
現在では、海底の浚渫土砂などごく限られたものだけが、海洋投入を認められている。
韓国の海洋投棄
汚泥や家畜糞尿、浚渫土砂などの処理経費削減を理由に1988年から海洋投棄を開始。投棄は日本海と黄海で行われており、世界各国が投棄量を減少させる中、1990年の107万トンから2005年には993万トンへと投棄量を急増させている。近年、廃棄物から重金属類が検出されたことを契機に、漁業者を中心にした投棄反対運動が行われるようになった。韓国政府(海洋水産部)は、2011年までに海洋投棄を500万トンへ半減させる計画を発表している。