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地盤沈下

地盤沈下とは?

地盤沈下(じばんちんか)とは、地盤が沈む現象である。

地盤沈下の概要

地盤が沈む原因には、自然由来のものや人工的なものがあるが、一般的には一度沈下が起きると二度と元の高さまで戻ることはない不可逆性を持つ。建築物や農業に被害を受ける。地盤沈下は、海抜ゼロメートル地帯を発生させる広域の沈下現象と、土木工事等による局所的な沈下現象とがあり、一般的には広域の沈下現象を、公害の1つとしている。

広域の地盤沈下は、工業用水・農業用水・消雪用水・冷房用水等の地下水の過剰揚水(涵養量を超える汲み揚げ)、天然ガスの汲み上げ、鉱山の坑道掘削などが主な原因となる。

地盤沈下と地下水状況把握に現在水準測量による地盤の収縮状況や地盤高の測定、国土交通省の設置する地下水観測所での地下水位観測が行われている。局所の地盤沈下は、局所的な揚水や、元々水田(軟弱地盤)だった地域に建築物が構築されたような場合の、地耐力を超えて荷重が載荷された場合に発生する。

日本

日本において地盤沈下が最初に取り上げられたのは、関東大震災後に行われた水準測量によってである。荒川放水路の周辺で広範囲にわたって沈下が確認された。当初は地殻変動によるものとされたが、次第に被害範囲が広がり、大阪市でも同じ現象が取り上げられたため、研究者たちが本格的な調査に乗り出した。

第二次大戦末期には多くの工場が操業を休止したことに伴い、地下水位は回復し、地盤沈下の進行も収まった。戦後は再び沈下が進行し、その被害を抑えるため1960年代に地下水の揚水が規制された。

現在首都圏の問題は緩和されたものの、積雪地域においては消雪のために地下水汲み揚げが必要となり、地盤沈下問題の解決が困難になっている。

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震により、陸前高田市の0.84mや牡鹿半島の1.2mを最大変動量として岩手県、宮城県や福島県の太平洋沿岸の多くの地点で地盤沈下が起こったが、これは地殻変動による沈降を地盤沈下と呼んでいる。

被害

広域的被害

地盤沈下は広域化することにより、局所的な被害に加えて、被害がさらに拡大化することに問題がある。また一度沈下すれば、ほとんど回復(地盤上昇)することはないことから、潜在的被害の発生が固定化されてしまうことも、問題を深刻化させている。

ゼロメートル地帯

ゼロメートル地帯とは、平均潮位と同じ、もしくは更に低い標高の地域のことを言う。広域の地盤沈下により発生する。海抜ゼロメートルを指したことから呼ばれる。特に海岸や河川沿いなどの沖積低地に広く発生する。このためゼロメートル地帯では、地盤沈下とともに堤防の高さが水面に対して低くなったり、水面と地盤標高の差が相対的に高くなる事により、高潮時の被害が大規模化する。対症療法として、堤防のかさ上げが行われる。

局所的被害

不同沈下

ある施設において、場所によって沈下量の異なる地盤沈下を不同沈下(ふどうちんか)若しくは不等沈下(ふとうちんか)という。このような場合、建物が傾いたり路面に凹凸や亀裂を生じるなど、地盤沈下で最も問題となる。具体的には、建物が傾けば、住人にとって不便であり不快であるし、空港の滑走路であれば、離着陸時の安全性に問題が生じる。

不同沈下の事例として最も有名な建物としてイタリアのピサ大聖堂の鐘楼ピサの斜塔がある。

抜け上がり

杭基礎を用いた建物にあっては、地盤沈下に関係のない(地下水位の変動の影響を受けない)支持層によって支えられていることが多く、周囲の地盤が沈下するが、支持層で支えられている建物は沈下しないため、周辺地盤より相対的に高い位置になる抜け上がりを起こす。なお地震等の地盤の揺れによる液状化現象が生じた場合にも、見かけ上、同様に抜け上がり現象が発生する。

「抜け上がり」問題は、建物等の構造物にとって深刻な問題である。建物周辺に埋設してあるガス管や水道管等の埋設管は、地盤沈下とともに挙動するが、建物は元の位置を保つため、埋設管と建物の接合部で破断する。よって建物が機能しなくなるおそれがある。

その他

地盤沈下現象とは異なるが、河川が上流から運んだ土砂等が堆積して周囲より川底が高くなる天井川(てんじょうがわ)の周囲も、ゼロメートル地帯と似た状況になる。

広域地盤沈下対策

広域の沈下を発生させない対策としては、地下水の揚水量を減少させることである。その対策は、以下の3つにより行われている。

揚水量そのものの規制
代替水の確保・供給
水利用を合理的利用(節水)の促進

これを実施していくため、広域の地盤沈下対策は、以下の施策で進められている。

1.法令等による地下水採取・地下水揚水規制
法による規制
工業用水法・ビル用水法
条例等による規制(平成18年8月現在、27都道府県、245市町村)
条例による規制
指導要綱(地盤沈下防止等対策要綱)等による規制
公害防止協定等による規制
自主規制
一般の行政指導
2.代替水供給事業
3.水利用の合理化

これらの施策により揚水量は徐々に減少し、要綱指定3地域のうち南関東を除く2地域(濃尾、九州)では、目標揚水量を下回るようになってきている。また要綱指定3地域以外の各地でも地下水位は上昇してきている。しかし地域によっては、固定化された水利権により代替水確保が困難などの問題により、対策が進みにくい地域もある。

広域沈下対策による新たな問題の発生

地下水の揚水規制により、沈下は抑えられてはいるものの、逆の問題も発生し始めた。代表的なものは地下水位の上昇により、地下室が浮上し、建物などの破損が起き始めたことである。例えば東京駅では、地下室におもりを入れたり、地中深部へのアンカーにより地下室を引っ張り、地下室の浮上を押さえるなどの対策を採っている。

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