オゾン層
オゾン層とは?
オゾン層とは地球の大気中でオゾンの濃度が高い部分のことである。オゾンは、高度約10 - 50kmほどの成層圏に多く存在し、特に20 - 25kmの高さで最も密度が高くなる。
オゾン層の定義
オゾン層の明確な定義はない。一般的には、大気中のオゾン総量の9割が存在する成層圏の高濃度オゾン帯を指し、高度10 - 50km付近とされる。以下、いくつかの定義を挙げる。
高度10 - 50kmの成層圏(国連環境計画=UNEPのQ&A集"TWENTY QUESTIONS AND ANSWERS ABOUT THE OZONE LAYER"(2006年)、およびそれを基に作成された環境省の資料など)
高度15 - 60km(アメリカ気象学会の用語集"Glossary of Meteorology"による)
大気境界層(高度約1km)より上の大気オゾンの層(オゾン層の保護のためのウィーン条約)
ちなみに、オゾン濃度が最も高いのは高度20km付近で、1立方センチメートル(cm2)あたり約1013個(=10兆個)のオゾン分子が存在する。また、オゾンの混合比(乾燥空気に対する質量比)が最も高いのは高度30km付近で、9 – 10 ppmである
オゾン層の発見
1840年にクリスチアン・シェーンバインによってオゾンが発見・命名されたあと、1879年にマリー・アルフレッド・コルニュが太陽光のスペクトル観測において紫外線の遮蔽があることを発見、その原因はオゾンであることを1881年にウォルター・ハートレイが発見し、1913年にジョン・ウィリアム・ストラット(レイリー卿)は下層大気では紫外線の吸収が無いことを発見した。そして、同1913年には、シャルル・ファブリとアンリ・ビュイソンの2人のフランス人科学者によって「オゾン層」の存在が発見された。1920年には、ゴードン・ドブソンが科学的測定によってオゾン層の存在を証明した。
オゾン層の役割
オゾン層は、太陽からの有害な紫外線の多くを吸収し、地上の生態系を保護する役割を果たしている。
紫外線は波長によってUV-A、UV-B、UV-Cに分類される。最も波長が短く有害なUV-Cはオゾン層によって完全に吸収され、地表に届くことはない。UV-AとUV-Cの中間の波長を持つUV-Bは、そのほとんどがオゾン層によって吸収されるが、その一部は地表に到達し、皮膚の炎症や皮膚がんの原因となる。最も波長の長いUV-Aは、大半が吸収されずに地表に到達するが、有害性はUV-Bよりも小さい。UV-Aは、しわやたるみの原因になる。