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河川汚染による環境破壊

河川汚染とは?

日本では1950年代から1960年代の高度経済成長期に、産業排水、生活排水が直接川に流されたため、水質汚染が深刻になった。これはまず公害病と悪臭の問題として取り上げられ、1970年制定、翌年施行の水質汚濁防止法などの対策がとられた。また、河川は人が自然と身近に触れ合うことのできる場であったが、都市化と治水を優先するあまり、河川をコンクリートの壁で隔てたり地下に通したりして、憩いの場とはいえなくなった。治水が一段落し、水質改善のめども立ちはじめた1980年代には、このような状況を改善するために親水空間の創出を意識した河川計画が立てられるようになった。さらに河川・河畔の生態系が重要だと考えられるようになると、1990年の建設省河川局の通達「多自然型川づくりの推進について」を転機にして、多自然型川づくりが今後の河川計画の基本とされるようになった。また、近年は河川の水質環境基準を達成していることが多くなり類型の見直しなどにより、さらに水質の改善が図られている。

水質汚濁の種類

有害物質によるもの:生体に有害な物質が、その影響を顕わす濃度を超えて存在する状態。環境中の濃度が低くても生物濃縮が生じる物質では、この濃度がごく低いため、環境への放出が特に厳しく規制されている。


水の状態の悪化によるもの:本来その環境が備えるべき性質を損なう原因となっている状態。もっとも普遍的なのは過剰な有機物の排出が招く、腐敗による酸欠である(バクテリアによる酸化分解過程で水中の溶存酸素濃度が低下し、好気性水生生物が生存できなくなる)
これがさらに進行した場合、嫌気性微生物しか生存できなくなり、硫化水素などの毒性物質が生成する。
富栄養化による生態系の混乱:窒素、リンといった栄養塩類が過剰に存在すると、藻類やプランクトンが爆発的に繁殖し生物多様性が失われる。この結果、生態系が不安定となり、被害を招く。
閉鎖性海域では、繁殖したプランクトン(時に有毒)そのものによる赤潮や、その死滅が招いた酸欠水が導く硫化水素生成による青潮などによる大規模な漁業被害が現在も発生している。
また、湖沼では藍藻類の大繁殖によるアオコを生じさせ、類似の被害を招いている。
濁水(だくすい)による水生生物への影響:建設工事や農業、水害などにより大量の粘土粒子が水中に分散すると、いずれ一気に沈降する時に底生生物を物理的に被う、水草などの光合成を妨げる、あるいは無機コロイドによる細胞への作用などで、魚類ではエラが詰まり死亡する、特に渓流魚では濁りが一定値を超えると発眼卵の孵化率(生存率)が低下する、南西諸島で深刻な赤土汚染は、サンゴ群落が堆積した泥に埋没し死滅する等、広い範囲で生物群落の破壊や死滅をもたらすことがある。

汚染物質

有害物質による水質汚濁の原因としては、カドミウム、鉛などの重金属や有機水銀、揮発性有機化合物 (VOC) などで蓄積性、発癌性を持つ物質があげられる。主に工場排水や産業廃棄物が発生源として警戒される。水の状態を悪化させる原因となるものは、生物により容易に消費されるタイプの有機物や、肥料の成分でもある窒素・リンなどの栄養塩類などがある。主に生活排水に由来し、本来環境に必要な物質であっても、過剰に存在する故に汚染物質と化す。

主に物質としての有害・有毒性によるもの。法規制の対象となっているものは、健康項目とも呼ばれる。
重金属類: 鉱業、金属精錬・加工
シアン化合物 : メッキ工業、製鉄、都市ガス(一酸化炭素)
揮発性有機塩素化合物:半導体素子製造、洗浄、ドライクリーニング、塗装
農薬:※非常に多種の製品があるが、規制対象になっているのはごく一部
揮発性有機化合物:半導体産業、農薬、洗浄
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素:農業(肥料、家畜の糞尿)、自動車
フッ素化合物 : アルミニウム精錬、樹脂製造、ガラス工業
ホウ素化合物 :温泉、メッキ工業、金属加工
化学物質 : 無機・有機化学工業、半導体素子製造、農薬、廃棄物最終処分場
石綿

主に量が過剰だと有害性を顕わすもの。法規制の対象となっているものは、生活環境項目とも呼ばれる。
色・匂い:染色
酸・アルカリ : 鉱業、金属精錬・加工、無機化学工業、酸性雨
有機物 : 家庭排水、工場廃水、畜産
水の濁り : 土木工事、鉱業、自然災害(洪水)、窯業、製紙
油分 : 石油化学、食品・油脂工業
微生物 : 医療機関、畜産、家庭排水、食品工業
栄養塩類 : 家庭排水(洗剤)、農業、畜産、化学工業・食品工業

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