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二酸化炭素による環境破壊

二酸化炭素とは?

二酸化炭素は、化学式が CO2 と表される無機化合物である。最近では、化学式から「シーオーツー」と呼ばれる事も多い。物を燃やすだけで生成するため、地球上で最も代表的な炭素の酸化物となっている。気体は炭酸ガス、固体はドライアイス、水溶液は炭酸、炭酸水と呼ばれる。多方面の産業で幅広く使われる(後述)。日本では高圧ガス保安法容器保安規則第十条により、二酸化炭素(液化炭酸ガス)の容器(ボンベ)の色は緑色と定められている。

温室効果

二酸化炭素は赤外線の 2.5~3μm、4~5μm の波長帯域に強い吸収帯を持つため、地上からの熱が宇宙へと拡散することを防ぐ、いわゆる温室効果ガスとして働く。 二酸化炭素の温室効果は、同じ体積あたりではメタンやフロンにくらべ小さいものの、排出量が莫大であることから、地球温暖化の最大の原因とされる。2006年現在の大気中にはおよそ381ppm(0.038%)ほどの濃度で二酸化炭素が含まれるが、氷床コアなどの分析から産業革命以前は、およそ280ppm(0.028%)の濃度であったと推定されている。濃度増加の要因は、主に化石燃料の大量消費と考えられている。また、二酸化炭素そのものの海水中への溶存量が増えることによって海水が酸性化し、生態系に悪影響を与える海洋酸性化も懸念されている。1997年には京都議定書によって二酸化炭素を含めた各国の温室効果ガス排出量の削減目標が示され、各国でその削減を努力することを締結した。 その手法は多岐に亘る。エネルギーや農業・畜産業など人為起源の二酸化炭素の排出量を抑制する努力、および森林の維持・育成や二酸化炭素回収貯留 (CCS) 技術の開発など、二酸化炭素を固定する努力が進められている。また排出権取引などを活用して、世界的に二酸化炭素の排出量を削減を促進する努力も行われている。しかし、氷床コアから推定される過去数十万年間の気温変動と二酸化炭素濃度データでは、気温の変化の後に二酸化炭素濃度が上昇しており、この点についての十分な説明がないなど、様々な観点から批判されている。 このような様々な見地からの検証を排斥する態度から、二酸化炭素の地球温暖化への影響は実際には小さく、政治・経済の取引に利用されているだけだという見解もある。

地球温暖化の原因

二酸化炭素は温室効果係数が小さいながらも環境中での寿命が長いこと、地球放射スペクトルに対する吸収波長の重なりが大きいことから、放射強制力が大きいとされる。人為的に発生する二酸化炭素量は、石炭を用いた火力発電や自動車の排気ガス、工場の排気など化石燃料の燃焼がもっとも多い。熱帯雨林を破壊する焼畑農業も主要な原因であると考えられている。また火山活動や山火事など、自然現象によっても発生する。2006年の国際連合食糧農業機関(FAO)の報告では、二酸化炭素の9%が畜産から発生しており、交通から発生するよりも多い。世界自然保護基金(WWF)は、2030年までに、最大でアマゾン熱帯雨林の60%が破壊され、この影響で二酸化炭素の排出量が555億トンから969億トンに増える可能性があることを報告した。2006年の国際連合食糧農業機関(FAO)の報告では、伐採された森林の70%が放牧地へと転換されている。二酸化炭素は海中にも直接取り込まれ、降雨に溶け込み湖沼に流れ込み、最終的に海洋にも流れ込む。海中のサンゴに炭酸カルシウムなどとして海水含有分から取り込まれ、森林の木々の組成には大気中や地中の水分などから固定される。 この両者の固定されている炭素量は、人類による環境破壊や資源としての利用の結果、年々減少傾向にあり、そのことも、間接的にも人為的に二酸化炭素を増やす要因となっている。なお、二酸化炭素の増加そのものが生態系に及ぼす影響も指摘されている。

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